狭さを感じさせない千利休の茶室
私が所属しているエコハウス研究会とは、古民家から先人の知恵を学び、それを現代の最新技術と融合させながら家造りを考えていこうという団体です。住宅の歴史を学んだり、科学的な資料に基づいてデータを読み込んだり、参加しているとつくづく建築って奥が深いなと思います。時々話題の建物なども訪ねたりします。
京都で開催された建築見学ツアーでは、妙喜庵待庵と聴竹居という名建築を見てきました。待庵は茶人・千利休が造ったといわれる現存する最古の茶室で、数奇屋建築の原型にもなったとされています。わずか二畳の茶席というミニマムスペースで、空間として成り立つのか疑問でしたが、狭い感じがしなく、どこか落ち着きます。
二畳といっても正面に床の間があり、次の間を加えると四畳半ほどあります。屋根の形に合わせた勾配天井になっているのこと、京間は畳のサイズが関東間より大きいなどが、ほどよい空間と感じる要因かもしれません。屋根は切妻造杮葺きで、軒樋は竹の半丸材。国宝なので建物を維持するにも指定された高価な材料を使うので、メンテナンスも大変だそうです。
利休が考案したとされるにじり口ですが、ここから入るものは「武士も商人も誰もが身分差がなく、同じように頭を下げて入り茶室の中では皆平等に振舞われる」ということを表したといわれます。利休は現存している甲冑から身長が180cmと当時としては大柄だといわれていますので、この出入りには利休自身が苦労したのではと思ってしまいます。
↑残念ながら建物の撮影は禁止だったので絵葉書を購入しました