プロフェッショナリズム
「前川國男・弟子たちは語る」という本の中で、プロフェッショナリズムという言葉を見つけました。そこには、名人や匠、巨匠とは全く違い「学問的体系に基づいた高度技能を依頼人のために活用し報酬を得る。そのために倫理観を持っている」と書いてあります。
前川國男(1905-1986)は、日本を代表する建築家。大学卒業式の夜、シベリア鉄道で大陸を横断して、20世紀の巨匠ル・コルビュジェの設計事務所に入所する。
今の学生なら就職が決まったから、思い出づくりに「海外旅行にでも行こうか」ということになるかも知れませんが、それとは大分違います。簡単には飛行機に乗れない時代。ユーラシア大陸の原生林を約1週間かけて走り抜けなければならない。
走れども、走れども変わらない車窓からの景色。この先に見える不確かな未来。どんな思いで眺めていたのでしょうか?
プロフェッショナリズムは、その前川に問われて弟子が行着いた答え。
はっとしました。
自分はこれまで持っているものを、依頼人のためにすべてを出し切っていただろうか。この言葉を肝に銘じて、さらに技能を高めるために精進いたします。