ディテールにこだわる
「雰囲気がよくて感じのいい建物」、「外観のデザインがちょっとダサいかな」……など、見た目で家を判断することがあります。
それはちょっとした違いで決まります。たとえば、間取りを優先して外観の窓位置がバラバラになったり、壁タイルの割付が片側に寄ってしまってバランスが悪くなったり、言わないと気づかないこともありますが、気になり出したらその部分ばかりに目がいってしまいます。
造り手としては、建具や窓枠の水平ラインを合わせたり、余分な線を減らすために窓枠をクロス巻込みにするなど、いかに室内空間をシンプルに見せるかを考えます。
私は建築特集をした雑誌やユニークな住宅を拝見するTV番組をよく観ます。それは自分が今まで使ったことのなかった素材や、考えたことのなかった空間の造り方など、家造りに活かせる物がないか、常にアンテナを張って探しているからです。
どこかで試してみたいと思うものがあったら、写真で画像にしたり、映像を録画したりして残します。それは街歩きをしているときでも同じ。
宿場町の通りで美しい窓格子を見つけたら、写真を撮りその格子の幅やピッチを数えます。
庭を囲む朽ち果てた木の塀。丸太を切りっぱなしにして並べただけなのに、自然で周囲と馴染んでいる。その施工はどうなっているのか、どうやって止めているのか? 正面、裏面、側面と細かく観察します。
裏通りに流れる小さな水路。人工的に石を配しているのに街並みにマッチしている。
そんな細かいティテール(詳細)観ていると、つい時間を忘れていまいます。いつかどこかで試してみたい。そのためにディテールを集めた抽斗を造っています。
何かいいなと感じるちょっとしたこだわりのディテール。
ふとしたところにそんな発見があるから、街歩きはやめられません。
↑高原にあるイングリッシュガーデンの木の塀
↑郡上八幡の裏道。石積みの水路がユニーク