地球に寄りそうサスティナブル住宅

スクラップ&ビルドをくり返す現代住宅はもう卒業。バレナは次世代に引き継ぐ本物の家造りを提案します。

ファンタジスタと呼ばれたい

イタリアの広場が好きだ。シンボリックな教会や市庁舎を中心に、レストランやブティックなど、洒落た店が取り囲む。「チャオ(こんにちは)」、「コメ スタイ(元気)?」。地元の人たちの何気ない会話。そばでは小さな子供たちが夢中で、サッカーボールを追いかける。

 

数百年以上の歴史ある建物。そこにはツアー客が添乗員の話を真剣に聞き、バックパッカーが床に座り込んでパニーニを頬張っている。日常生活を過ごす地元の人たちと、外からやってきた旅行者。この空間は違和感がなく、居心地がいい。

 

日本では広場をつくっても、通り過ぎるだけの雑踏になってしまう。ヨーロッパの広場と、どこが違うのか? 私の卒論のテーマでした。そこに行くだけで高揚していく広場。イタリアのフィレンツェに滞在していた時に、毎日のように通っていた「サンタ・マリア・デル・フィオーレ広場」を思い出します。多くの出会いがありました。

 

ある日、広場の石段に座っていると、一人の若者が話しかけてきました。「自分はナポリからやってきた」。そういえば、彼の髪の毛は黒色。イタリア人というよりはギリシア人のようだ。「プロサッカー選手で、これからフィオレンティ-ナと試合があるから観に来ないか」と誘われました。

 

当時、日本ではサッカーは野球人気にくらべてマイナーなスポーツ。Jリーグが開幕する7年前のことです。その日の夕方、私はフィレンツェのスタジアムにいました。彼の姿を探しましたが、最後まで見つけられませんでした。試合結果は憶えていません。記憶にあるのは試合終了後、サポーターが発炎筒を焚き、目がチカチカしたことだけです。

 

サッカーの面白さとイタリア人の熱狂的な応援は、このとき知りました。

 

イタリアには「ファンタジスタ」というサッカー用語あります。パスやドリブル、シュートなどで、閃きや創造性を発揮し、観客を魅了する選手のことをいいます。賞賛と尊敬の意味が込められているそうですが、「誰ともなしに呼ばれるもの」で、本人自らが名のるものではないそうです。

 

先日、野球評論家の野村克也さんが、薬物使用の疑いで逮捕された清原博和容疑者へのコメントで、「野球は技術力には限界がある。その先は頭で考えるしかない。……技術の先には頭脳と感性が必要……」(太線は筆者)と話していましたが、これがファンタジスタの条件のような気がします。

 

何かやってくれそうなファンタジスタ。仕事もそんな刺激がほしいですね。

 

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↑サンタ・マリア・デル・フィオーレ広場

 

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↑ジョットの鐘楼から見たフィレンツェの街並み

 

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フィレンツェの中心街はチェントロ・ストリコ(歴史的地区)と呼ばれ街並み自体が博物館のよう