近未来の木造ビルディング
CLTってご存知ですか?
恐らく建築関係にたずさわっていても、知っている方は少ないと思います。
CLTとはCross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略称。ひき板(ラミナ)を並べた層を、繊維方向を直交に重ね合わせ接着したパネルです。1990年代からヨーロッパを中心に、開発や実用化が進んでいます。
このパネルの凄いところは、柱や梁ではなく面で支えるため地震に強いこと。しかも、木造なのに高層階も可能です。すでにロンドンでは、8階建てのビルも建てられています。
もうひとつ魅力的なのは工期が短縮できること。通常RC(鉄筋コンクリート)構造だと、1フロアを造るのには、鉄筋を配筋し、型枠を入れて、コンクリートを打設。さらに生コンの養生期間を取ると、約1週間かかります。
これをCLTの工場でプレカットしておくと、現場での施工が容易で1フロアを1日で建てることも難しくないそうです。
日本では2012年1月に日本CLT協会が設立され、2013年12月にCLTのJAS(日本農林規格)が制定されましたが、まだはじまったばかり。昨年3月には日本初の国産材のCLT建物が完成。延べ床面積267㎡の3階建て社員寮で、延べ2日間で建て方は完了しました。
https://www.youtube.com/watch?v=BUwh7q-iNrA
先月末、東京ビッグサイトで開催されたナイスの「住まいの耐震博覧会」では、5階建てCLTの試験体が展示していました。厚さ15㎝の木造パネルの壁は、従来の木造躯体と比べると重量感があり、見るからに頑丈そう。
これまで木造といえば、軸組在来工法やツーバイ工法が一般的でしたが、これにCLTが加わる日はそう遠くはないかもしれません。
↑地震に強いことを実証したCLT試験体
↑内部は床と天井を金物で接合
↑床と壁はボルトで緊結
↑コーナーはL型金物によりスクリュービス留め