地球に寄りそうサスティナブル住宅

スクラップ&ビルドをくり返す現代住宅はもう卒業。バレナは次世代に引き継ぐ本物の家造りを提案します。

時代はめぐりめぐって……

「ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?」

 

第30回サラリーマン川柳で、1位を獲得したこの句は、いまの若者とその親世代をよくあらわしています。

 

バブル時代(1986-1991)は、とにかくみんなが浮かれていました。高給取りでない若者も高級ブランドの服を着て、彼女と高級レストランで食事し、買い物は高級志向で高いものから売れていく時代でした。

 

株や不動産の高騰で、経済拡大が行われ、このままずっと青天井なのではないかと錯覚していました。幼なじみの友人が、2000万円で買った中古マンションを8000万円で転売した、いま考えると異常な事態でした。

 

私はこの時期すでに30代でしたが、バブルを経験している人たちは、「ゆとり世代」の

親世代になりました。ゆとり世代のような堅実ではなく、楽しいことに夢中になり、ふわふわと過ごしていました。

 

バブルで大儲けした工務店の社長さんで、当事のことが忘れられなくて夢をもう一度という方がいましたが、今では遠い過去の出来事です。

 

バブル崩壊後の5~6年間は住宅着工棟数が伸びています。この頃ローコスト住宅が売れ始めました。坪単価30万円というチラシが踊っていました。それと比較すると今の住宅は高いと指摘する方がいます。

 

今と較べると20年前の住宅は、確かに安い。でもよく考えてください。内容をみてみると、建物のグレードが上がっています。たとえば、20前はアルミサッシのシングルガラスが主流でしたが、現在では樹脂サッシでガラスは、ペアやトリプルの断熱ガラスに変ってきました。

 

断熱気密も高性能になり、耐震性能は度重なる震災により、筋違いや金物で強度を高めています。さらに住宅に瑕疵があったときのための瑕疵保険制度の義務化。また、消費税が3%から8%に上がっています。2000万円の住宅を購入した場合、それだけでも100万円多くかかります。

 

ゆとり世代は、デフレで給料もなかなか上がらず、前途多難。それだけにバレナは、末永く暮らせる、次世代に愛される家を。ゆとり世代がゆとりで暮らせる家を思案中です。

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 ↑安曇野子育てガイドブック

「バレナスタイル」

職業柄、新築住宅のチラシを見ますが、時々疲れてしまいます。

 

それはいかに自社の商品(家)が優れているかを連呼しているからで、読み手の立場から考えると、どんな建物がいいのかわからなくなってしまうからです。

 

最近のチラシの傾向をみると3つのパターンに分かれます。

 

一つ目は、規格住宅テンコ盛り型。規格住宅で自社オススメの基礎や構造躯体、断熱施工などの工法、メーカーとの交渉で安く仕入れている設備機器を標準装備して、品質の良さと、お値打ちの価格を強調します。企画プランが豊富で、流行のものをいち早くキャッチしているので心奪われます。何でもそろっていいのですが、個性が感じられません。

 

二つ目は建築士とつくる家。構造を含めて希望の間取り、暮らしやすい動線などを考えてくれます。ときにはデザイン性に懲りすぎて使い勝手が悪かったりしますが……。でも工務店社内にある設計事務所は、建築士主導というよりも社内事情が優先される場合が多く、建築士は図面を描くだけで、現場はあまり見ないようです。それに営業、建築士、現場監督間のコミュニケーションが少なく、施工ミスや発注ミスが多いとも聞きます。

 

三つめは、コスト優先型の住宅です。坪単価・坪389,000円などローコストの安さを全面に出しているのが特徴ですが、いざ契約してみると金額は税別の本体価格で、他に給排水設備工事や設計料などを加えると、結果的に割高だったりします。最近はこのタイプの住宅が増えていて、上記の会社でも社名を伏せてローコスト住宅を販売するようになりました。

 

これは薄利多売で契約棟数を増やすことにより売上を伸ばそうとする考えですが、よくある自転車操業に陥りがち。受注が減ると一気に窮地になります。

 

バレナでは先に挙げたいずれの手法もとりません。お客様一人ひとりに寄り添いながらすすめていく、逸品生産の家造りを目指しています。

 

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↑昨日、今日と白馬村で見学会を開催しました。展示場では施主様がクライミングボードによじ登りながらホールドを取り付け。みんなで楽しむ家造りがバレナのモットーです

安曇野でお伴をさがす

安曇野は春間近。用水路からは雪解け水が飛沫をあげながら勢いよく流れる。桜の季節はもう少し先ですが、ひんやりとした空気が気持いい。

 

朝の目覚めは、喉を潰したようなキジの鳴き声。すると愛犬が背伸びをして、起きろとばかり顔をペロペロなめまわす。お決りの早朝の散歩。学者村別荘地の麓にある私の家は、自然の宝庫。冬から一気に変化する。田んぼに水が張られ、GW前後には田植えがはじまる。

 

学者村とは昭和39年、当時の穂高町と協力して開発された分譲別荘地。大学関係者に呼びかけて広がったためにその名前がついたそうだ。面積は30数万坪、1400区画はすべて完売している。

 

軽井沢のような賑やかな別荘地ではなく、都会の生活からの安息日を求めてやってくる方が多い。そのため隣と境界はほとんどつくらず、自然の地形をいかしたままのところがほとんど。私のような永住者も増えていますが、約9割は県外者だそうだ。

 

最近では定年をむかえた年配のご夫婦が、いままで住み慣れた家を売って永住する方が増えています。自然の中で静かに暮らしたい、庭に家庭菜園を作りたい、薪ストーブの生活をしてみたい…。

 

弊社でもこれまでに数多くの家造りをお手伝いしてきました。今では土地を購入から50以上が経ち、三代目が改築工事をすることもあります。「夏休みに近くの小川で遊んでいたのが懐かしくて」と、思い出の詰まった土地に再び新しい家族との時間を楽しむ。

 

ここでは時間が、ゆっくり、ゆっくり流れます。

 

弊社では今月末から、この学者村別荘地に永住者向けに住宅を着工しました。現在、伐採・抜根が終了し、整地工事に入っています。建設現場に行くと時々、サルの親子を見かけます。私たち人間になれているせいか、逃げもせずにエサをさがしています。

 

そういえば、日本のおとぎ話『桃太郎』では鬼退治にイヌ、サル、キジを従えましたが、子供心に「そんなに簡単に家来をみつけられるのかな」と思っていました。

 

でもここで生活すると、そんな違和感がまったくなくなりました。

 

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↑自宅の裏で散歩していた野生のキジ

 

家造りは一体感が大切

受験生を持つ親は、2月末から3月のこの時期はいちばん大切なとき。息子や娘たちが希望の学校に合格できるか、ハラハラドキドキします。風邪にならないように体調に気をつけたり、神社で合格祈願のお守りを頂いたり、まるでわが子に乗り移った気持になります。合格通知の報告を聞いたときは、胸が熱くなります。

 

家造りでもそんな場面があります。それは、お客様の住宅ローンの融資承認が下りたとき。特に、融資が難しいと思われた方が、金融機関にかけ合いながら、多くの書類を提出して、なんとか承認を取付けたときは、感慨はひとしおです。

 

ともに喜びを別ち合うと、家造りが楽しくなります。

 

時々「この金額に押えた建物にして」という見積り依頼を受けることがあります。そんな時は、できる限り希望金額に近づけるように努めますが、だからといって弊社が考えている建物の仕様を落とすことはしません。

 

予算がオーバーすれば、それを補う助成金がないか、同等品でコストが押えられる商品がないかなど、他の様々な方法をさがします。弊社で建築する家は、自分の家を建てるのと同じ。だから家造りのスタートラインは、それに携わる全員で気持ちよく立ちたいものです。

 

現場でも同じ。職人さんや納材店の営業さんは、工程の進捗状況を考え、お互いの仕事を尊重しながらすすめれば、みんなの気持が一つになります。

 

ドラマや映画制作、広告や雑誌などのように、いいモノを造り上げようとする一体感は、私たちにいい家を創り出すパワーになっています。

 

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↑古材を使用した新築住宅。木組みが美しい

大好きな彼と末永くお幸せに

「じゃぁ、勝手にすれば」。「勝手にする」。

ニューヨーク・セントラルパーク前で、私の腕の中からガイドブックを奪い取った娘は、すたすたと反対方向に歩き出した。

 

こちらはそのまま真っ直ぐ進む。100mほど歩いたとき、クールダウンして振り返えってみると、彼女の姿は人ごみの中に隠れていた。些細な言い合いの口喧嘩、売り言葉に買い言葉。

 

私たちが目指していたのはニューヨークグッゲンハイム美術館で、そのすぐ近くだった。

 

20世紀巨匠のひとりフランクロイド・ライトよるこの建築は、別名「カタツムリの殻」と呼ばれ、中央部が大きな吹抜の大空間。その回りは螺旋状のスロープで、見学者は最上階までエレベーターで上り、そこからスロープを下りながら、壁に展示している作品を鑑賞する。

 

学生時代、いつか行ってみたい美術館のひとつだった。収蔵品は有名な画家ばかりだが、傾いている床で作品を見ているとジックリ眺めていられない。「この美術館は、展示物より建物そのものが作品なのだ」と気がつく。

 

ニューヨーク旅行へ出かけたのは、今から7年前で、娘が大学一年生の時だ。地下鉄を使わず、一日中ヘトヘトになるまでマンハッタンを歩き回った。ふたりとも方向音痴で、英語も通じない。イラつきながらの珍道中でした。

 

ホテルに戻ると、娘はベッドでふて寝。あの後、タクシーに乗りガイドブックに書き込んだ宿泊ホテルを連呼したそうだ。レストランの階段をさがすのに、まわりの人たちに「アガール」と叫んでいた娘だ。夕暮れ時、近所のステーキハウスに出かけた。

 

ニューヨークは、ペプシコーラから超高層ビルまで、何もかもがビッグサイズ。もちろんステーキも巨大。その歯ごたえは途方もなくかたい。ふたりでもぐもぐ噛み切れないまま飲み込む。「This is America」。

 

月日が流れ今月、娘が結婚式を挙げることになりました。

 

「お父さんバージンロードを歩くのでリハーサルをします」と、娘の夫に言われましたが、お父さんなんていう上等なものにはなれずに、今でもあの時の旅気分でいます。

 

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↑ライト死後半年後の1959年に完成したグッゲンハイム美術館

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↑吹抜けからの内部空間

まいけるさんからのLINE

朝8時7分、まいけるさんからLINEで一枚の写真が送られてきました。コメントはなしで。「ここの景色はスゴイですよ。天気のいい日は、必ずバルコニーから一枚撮ります」。

 

まいけるさんとは、白馬村の現場で木工事の造作をしている大工さんのハンドルネーム。現場に行くといつも楽しそうに、こう話します。

 

建物の西側から見るこの眺望は間近に遮るものがなく、北アルプスの大自然をひとりじめ。バルコニーは2階リビング&キッチンとひと続き。建物プラン段階から、この家のいちばんのセールスポイントとして計画してきました。

 

バルコニーは床にデッキ材を敷いて、室内空間を一続きにつなぐアウトリビングに。キッチンは、オールステンレスのアイランド型。料理しながらでも大自然の眺望を楽しめます。

 

敷地は必ずしもロケーションがいいとは限りません。ときには隣の家と接近していて、隣の窓と重ならないようにしたり、風の通りをうまくつくったり…。敷地の条件を考えながら、住み手のライフスタイルを読み取りカタチにしていきます。

 

その作業は手探りで手間がかかりますが、いちばん力が入るところです。

 

今年もそんな家造りを、地道に一歩一歩進めてまいりますので

時間をかけて理想の家を叶えたい方は、ぜひ弊社をお訪ねください。

 

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↑まいけるさんから届いた北アルプスの風景

 

その時代を生きてきた証

朝起きると寝ぼけ眼の妻がいきなり「辞めなければいいのにね」、と言い出した。何のことかわからずにいると、最終回の「SMAP×SMAP」を見て急に思ったという。特別にファンでもなかったのに……。

 

1999年12月31日、信州生活5年目をむかえた私たち家族は、東京に車で帰省していました。渋谷周辺で渋滞を過ぎると視界がひろがり、カーブになり、前を走っている自転車軍団を追い抜きました。

 

フッとその軍団を見ると、白いジャンパーを着たスマップの面々。窓越しから見慣れた顔を間近に見て、一瞬戸惑いました。私たちが何故その場所を走っていたのか記憶にありませんが、キムタクの厚化粧したドーランの顔は、今でも頭の中に残っています。

 

5時間にも及ぶ「SMAP×SMAP」放映の中、1999年にプロモーションゲリラで、大晦日に原宿を自転車で疾走するという企画がありました。妻はそれを観て当時を思い出したといいます。映像をよく観るとは紺のステーションワゴンが映っています。「あれ家の車じゃない」という妻の話を聞いて、私も17年前のことが蘇ってきました。

 

2003年の春は娘の小学校卒業で中学校への入学。この時にみんなが口ずさんだのが「世界に一つだけの花」。当初、この歌を知りませんでしたが、ことあるごとに曲が流れるうちに、いつの間にか大ヒットしていました。

 

誰にでも人生の歴史の中で、時代を共有している出来事があります。「スマップが日本にいるだけで安心感があるじゃない」と妻がいうように、それは、自分が生きてきた証を感じるからだと思います。

 

家造りもその一つで、生涯の一大イベント。試行錯誤しながら完成させる家は、家族との思い出になり、拠りどころになります。

 

今年も多くの方の新築やリフォームに携らせていただきました。その過程は私たちにとっても貴重で、楽しい時間でした。来年はより質の高い家造りを目指していきます。

 

今年も最後の一日になりましたが、みなさまどうぞ、よい年をお迎えください。

 

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 ↑桂離宮「竹の穂垣」