地球に寄りそうサスティナブル住宅

スクラップ&ビルドをくり返す現代住宅はもう卒業。バレナは次世代に引き継ぐ本物の家造りを提案します。

まいけるさんからのLINE

朝8時7分、まいけるさんからLINEで一枚の写真が送られてきました。コメントはなしで。「ここの景色はスゴイですよ。天気のいい日は、必ずバルコニーから一枚撮ります」。

 

まいけるさんとは、白馬村の現場で木工事の造作をしている大工さんのハンドルネーム。現場に行くといつも楽しそうに、こう話します。

 

建物の西側から見るこの眺望は間近に遮るものがなく、北アルプスの大自然をひとりじめ。バルコニーは2階リビング&キッチンとひと続き。建物プラン段階から、この家のいちばんのセールスポイントとして計画してきました。

 

バルコニーは床にデッキ材を敷いて、室内空間を一続きにつなぐアウトリビングに。キッチンは、オールステンレスのアイランド型。料理しながらでも大自然の眺望を楽しめます。

 

敷地は必ずしもロケーションがいいとは限りません。ときには隣の家と接近していて、隣の窓と重ならないようにしたり、風の通りをうまくつくったり…。敷地の条件を考えながら、住み手のライフスタイルを読み取りカタチにしていきます。

 

その作業は手探りで手間がかかりますが、いちばん力が入るところです。

 

今年もそんな家造りを、地道に一歩一歩進めてまいりますので

時間をかけて理想の家を叶えたい方は、ぜひ弊社をお訪ねください。

 

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↑まいけるさんから届いた北アルプスの風景

 

その時代を生きてきた証

朝起きると寝ぼけ眼の妻がいきなり「辞めなければいいのにね」、と言い出した。何のことかわからずにいると、最終回の「SMAP×SMAP」を見て急に思ったという。特別にファンでもなかったのに……。

 

1999年12月31日、信州生活5年目をむかえた私たち家族は、東京に車で帰省していました。渋谷周辺で渋滞を過ぎると視界がひろがり、カーブになり、前を走っている自転車軍団を追い抜きました。

 

フッとその軍団を見ると、白いジャンパーを着たスマップの面々。窓越しから見慣れた顔を間近に見て、一瞬戸惑いました。私たちが何故その場所を走っていたのか記憶にありませんが、キムタクの厚化粧したドーランの顔は、今でも頭の中に残っています。

 

5時間にも及ぶ「SMAP×SMAP」放映の中、1999年にプロモーションゲリラで、大晦日に原宿を自転車で疾走するという企画がありました。妻はそれを観て当時を思い出したといいます。映像をよく観るとは紺のステーションワゴンが映っています。「あれ家の車じゃない」という妻の話を聞いて、私も17年前のことが蘇ってきました。

 

2003年の春は娘の小学校卒業で中学校への入学。この時にみんなが口ずさんだのが「世界に一つだけの花」。当初、この歌を知りませんでしたが、ことあるごとに曲が流れるうちに、いつの間にか大ヒットしていました。

 

誰にでも人生の歴史の中で、時代を共有している出来事があります。「スマップが日本にいるだけで安心感があるじゃない」と妻がいうように、それは、自分が生きてきた証を感じるからだと思います。

 

家造りもその一つで、生涯の一大イベント。試行錯誤しながら完成させる家は、家族との思い出になり、拠りどころになります。

 

今年も多くの方の新築やリフォームに携らせていただきました。その過程は私たちにとっても貴重で、楽しい時間でした。来年はより質の高い家造りを目指していきます。

 

今年も最後の一日になりましたが、みなさまどうぞ、よい年をお迎えください。

 

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 ↑桂離宮「竹の穂垣」

 

オプションという名の誘惑

「一生に一度だから行こうよ」。妻のそのひと言で、来年1月に結婚式を挙げる娘の衣裳合わせに立ち会いました。衣裳店は都内のとあるビルの3階。こぢんまりした店内にカラフルなウェディングドレスが、ショーケースいっぱいに並んでいます。

 

結婚式はいま流行の楽婚(ラクコン)。若いカップルにはうれしい自己資金3万円プラスご祝儀で結婚費用がまかなえるという。しかも支払いはご祝儀が集まってからの後払い。ホテルの会場は、人気の日取り以外の空き会場を利用するので、スタンダードな結婚式をロープライスで、挙行できるという。

 

ドレス選びは、二冊あるカタログから候補をピックアップ。それを試着してみて気に入ったものに決める。一冊目を開くと、「そうそうこれだよね。パンフレットの表紙に載っていたの」、娘の夫が興奮気味に話す。ゴージャスで、二人でいいねって話していたウェディングドレス。

 

それを聞いた店の人が、「すみません、こちらはオプションになります。お客様のご利用料金では…」と、もう一冊のカタログをすすめる。予算内のカタログでは、娘たちのテンション下がりっぱなしで、選択肢はこれならこっちのほうがまだいいかという、消去法に変った。

 

そばで見ていた妻は、「一生に一度だから」と私に目配せした。こういうときのアイコンタクトは、受け入れるしかない。オプション分を献上することにしました。

 

弊社ではお客様と話をしながら、プランを考える「逸品生産の家」を目指しています。建物仕様は人それぞれで、金額も一軒ごとの見積もり。同じ建物でも建築コストは変わります。

 

よく建物の本体価格は、坪35万円など聞きますが、これは見た目の価格を最低限の仕様で安く押えて、オプション工事で全体のコストを上げる手法を使っています。いろいろ追加していくと、結果的には高い買い物になります。しかも必要のないものまで付いていたりして…。

 

本体価格が安いからといって、オプション工事では「ま、いいか」とチョイスしがち。知らないうちに思っていたものとは別物で、しかも高かった、なんていうことにならないようにしたいものです。

 

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↑一生に一度のウェディングドレス

 

 

 

あたりまえを考える

住宅設備機器は日々進化しています。

 

たとえば、ドアチャイム。25年前の家では、ボタンを押すと「ピンポ~ン」と鳴るタイプが主流でした。それが、いつの間にか会話ができるインターホンに変わり、その後、コストダウンしたテレビドアホンが標準装備になりました。

 

画像は白黒からカラーに代わり、今では録画機能付があたりまえ。不在のときにどんな人が訪ねてきたのか知るのに便利です。でも近頃新築のお家に訪問するとき、自分がどんな写りで撮られているのか、一瞬押すのをためらいます。セキュリティのためとはいえ、監視されているような窮屈さも感じます。

 

私が記憶に残っているチャイムの思い出は50年ほど前のこと。当時、小学校4年生だった私は、母と一緒に幼い弟を預かってもらうお宅を訪ねていました。そこは団地で鉄の扉。チャイムを鳴らしてもなかなか出てきません。

 

そんな時遠くから、「早く行ってドアを開けてあげて」という声が聞こえてきました。しばらくしてドアが開くと、出てきたのは小学校3年生の女の子。バスタオルを胸から一枚巻きつけただけの姿でした。髪は濡れたまま。どうやら入浴中で後から、その子のお母さんが脱衣室から出てきました。ドキドキして何も話せなかったのを覚えています。

 

初対面の出会いは、時に刺激的です。

 

最近契約していただいたお客様が、「可愛いアンティーク調のドアブザー」を希望されました。いまでは新築のチャイム、イコール、テレビドアホンが一般的ですが、これもアリだよねって思いました。何の疑いもなく決めてしまいがちですが、ときにはそれでよいのか、問い直してみるのも必要かもしれません。

 

先月松本市にあるウッドワンショールームでは、KUROMUKU(クロムク)というシステムキッチンを発売しました。いままでのキッチンというと、どのメーカーも扉つきでデザインにそれほど違いがありませんでした。

 

今回のKUROMUKUは、黒のスチールフレームと無垢の木との融合。フレームが露出していて、木の板と抽斗で構成されていて、これまでの常識を覆しています。いままでなかった分、「感性が合えば即決」だとか。

ウッドワンプラザ松本(TEL:0263-29-0788)では、11月10日(木)~12日(土)まで、秋の新商品紹介イベントを開催します。興味がある方はぜひお出かけください。

 

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ウッドワンプラザ松本。キッチンはKUROMUKU

 

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↑(右)無垢の木の収納ツムハコとテンツリ。(左)スタイリッシュなデザイン階段

 

インターネットは情報のドブ川?

24年前、電子ネットワークサービスの普及促進を活動目的とした「電子ネットワーク協議会」という団体が発足しました。多くの会員は大企業で、神奈川県や千葉県などの地方自治体が協賛で参加。一時期その団体の会報誌の編集に携わっていました。

 

会報誌では、電子ネットワークに関する最新情報や通産省(現経済産業省)の施策などを掲載。専門家の話は難しくてわかりませんが、新しい世界が時代を変えていくという期待感がありました。

 

その時はじめて知った言葉が「インターネット」。

 

勉強会は技術的な話ばかりでしたが、ある講師の方の『インターネットは情報のドブ川だ』というひと言が、ずっと記憶の中に残っていました。

 

その後パソコンが普及し、今ではインターネットは誰もが利用するITインフラになりました。調べものをするときや新しいニュースを知るにはとても便利で、新聞やテレビを見なくても気軽に知りたい情報が手に入ります。ついつい頼りにしてしまします。

 

でも、時々疑問に思うことがあります。たとえば、美味しいレストランを探したいとき。口コミサイトで星の数が多い店に注目しますが、イマイチなことがよくあります。写真がきれいでも味が金額に見合わないと感じることもしばしばです。

 

ある大学では学生たちが調べ物をする時に、多くの学生がインターネット検索の上位にあがるサイトを丸写しして提出していたという話も聞きます。その内容が正しいかどうかも確かめずに。ネットにあることがすべて正解のように受取ってしまいがちです。

 

弊社には住宅に関わる様々な業者さんが来社されます。雑談の中では同業者の話がよくでますが、耳を疑うような話もあります。

 

たとえば、デザイン住宅を売りにする地元のビルダー。「設計士と営業と現場が意思の疎通がまったくなくて間違えだらけ」、「サッシの色を間違えて全部塗り代えさせていた」、「外壁の張り方が違ったので壊してやり直した」。ホームページには、お洒落な住宅実例が並んでいます。

 

お金をかけてホームページをつくっている地元の工務店でもあります。「工事代金をぜんぜん払ってもらえない」、「材料代がなくて工事が止まったまま」、「完成の目途がたたずお客さんが困っている」。ホームページでは、経営者が理想の家造りを語っています。

 

住宅を建てたいと思う時多くの方は、まず、どんな会社があるかホームページで調べます。そんな時、見た目やイメージだけで決めてしまうのは危険。そこにある情報や内容がほんとうに確かなのか、自分なりに見つけ出す力が必要になります。

 

弊社は情報のドブ川から、「これはホンモノ」として認めていただけるように日々家造りに取組んでまいります。

 

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未来に息づく、まちづくりを

おとぎ話『三匹のこぶた』のオオカミは、わらの家と木の家を吹き飛ばしましたが、レンガの家はビクともしませんでした。子供心に「レンガの家なら丈夫で安心」と、ずっとそう思っていました。

 

8月23日に発生したイタリア中部地震では、その常識を覆されました。アマトリーチェでは石造りの建物が崩壊し、町が跡形もなくなるほどの被害をうけました。耐震対策がされていなかったことが原因だそうです。

 

それに対して震源地から南東10㎞にあるノルチャでは、死者がゼロ。ウンブリア州にある人口約5千のこの小さな町は、ここ数十年間で大地震に見舞われ甚大な被害を受けるなか、耐震化をすすめてきたといいます。

 

1997年にウンブリア州アッシジを襲った大地震では、サンフランチェスコ教会の天井が崩落。砂煙が上がるTV映像を思い出す方もいると思います。何度か訪れていた私にとっても、ショッキングな出来事でした。今回はその時の教訓が生かされ、被害がなかったそうです。

 

ノルチャには30年前、MOTO RADUNO(モト・ラドゥーノ)というオートバイ愛好家の集会に参加するために訪ねたことがあります。ヨーロッパ各地からやってくるライダーは、ほんとうにバイク好きで、走るのが大好きな人たちばかりでした。

 

オーストリア人グループのバイクの後ろに乗せてもらい、アウト・ストラーダ(高速道路)を走り、山の尾根を抜け、道の険しいワインディングロード。しばらくすると、ノルチャの美しい街並みが現われます。

 

さらに28km先には、カステッルッチョ・ディ・ノルチャの村。バイクで村へ近づくと、いきなり目の前に360°のパノラが視界に広がる。遮るものがない大平原。羊が群れをなし、その後を羊飼いが追う。なだらかな頂からはハングラーダーが宙を舞いながらすべり降りてくる。そして小さな丘に浮ぶ中世の町並み。

 

これまで体験したことがないような幻想的な世界だ。

 

イタリアでの楽しみのひとつは、そんな美しい自然と古い建物が調和した町並みを訪ねること。耐震を考えれば建物を一掃して近代建築にすることもできるけれど、それでは町の魅力は半減してしまう。耐震補強を施して未来に引き継ぐ町並みを残せていけたらと、心願っています。

 

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↑モト・ラドゥーノ1986

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↑カステッルッチョ・ディ・ノルチャ

意思表示をしなければ、前に進めない

子供の頃、東京の西を流れる多摩川は、私たちの格好の遊び場でした。スルメを餌にザリガニ釣りを楽しんだり、土手の堤を勢いよく自転車で滑り降りたり、ひろってきた子犬と走り回ったり‥‥。ボーッと考えごとをするときは、いつの間にかそこにいました。

 

それがある時期から遠のきました。川に生活排水が流れ出し、水面はヘドロの黒いかたまり。足を入れる気にならないほどで、水辺の遊びがなくなりました。川辺には汚水処理場が建設され、風が強い日には洗浄する白い泡が雪のように舞い、近くの民家の壁に貼り付きました。

 

街では車の排気ガスによる大気汚染。陽射しが強い日には、目がチカチカしたり、頭が痛くなったりして、光化学スモッグ警報が発令されました。健康や生活環境に係わる公害が社会的な大問題になりました。

 

そんな小学校高学年の時、自転車を飛ばして自宅近くのショッピングセンターに向かいました。そこにはニュースキャスターが東京都知事候補の応援演説をしていました。話の内容についてはほとんど記憶にはありません。でも、「10年後には多摩川を魚が帰ってくるきれいな川に戻します」という公約は鮮明に覚えています。

 

「川がきれいになる」。その言葉を純粋に信じ、いつか自然が戻ってくることを心待ちにしました。選挙権もないのにその候補者を応援したくなりました。

 

大人になって選挙権を持った今、政治家の言うことが全て実現できるとは考えていません。それでも公約を掲げる限り、矛先を変えないで真剣に取組んで欲しい。多摩川は10年では復活しませんでしたけれども、30数年経って再び都民の憩いの場になっています。

 

明後日は、東京都知事選挙の投票日。東京都民ではありませんが、政党やまわりの思惑に流されずに、使命感を持って都民に接する方がいいな、と思います。

 

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↑自然を大切にしたい。国定アルプスあづみの公園の堀金・穂高地区。

 最近オープンした里山文化ゾーン