地球に寄りそうサスティナブル住宅

スクラップ&ビルドをくり返す現代住宅はもう卒業。バレナは次世代に引き継ぐ本物の家造りを提案します。

あたりまえを考える

住宅設備機器は日々進化しています。

 

たとえば、ドアチャイム。25年前の家では、ボタンを押すと「ピンポ~ン」と鳴るタイプが主流でした。それが、いつの間にか会話ができるインターホンに変わり、その後、コストダウンしたテレビドアホンが標準装備になりました。

 

画像は白黒からカラーに代わり、今では録画機能付があたりまえ。不在のときにどんな人が訪ねてきたのか知るのに便利です。でも近頃新築のお家に訪問するとき、自分がどんな写りで撮られているのか、一瞬押すのをためらいます。セキュリティのためとはいえ、監視されているような窮屈さも感じます。

 

私が記憶に残っているチャイムの思い出は50年ほど前のこと。当時、小学校4年生だった私は、母と一緒に幼い弟を預かってもらうお宅を訪ねていました。そこは団地で鉄の扉。チャイムを鳴らしてもなかなか出てきません。

 

そんな時遠くから、「早く行ってドアを開けてあげて」という声が聞こえてきました。しばらくしてドアが開くと、出てきたのは小学校3年生の女の子。バスタオルを胸から一枚巻きつけただけの姿でした。髪は濡れたまま。どうやら入浴中で後から、その子のお母さんが脱衣室から出てきました。ドキドキして何も話せなかったのを覚えています。

 

初対面の出会いは、時に刺激的です。

 

最近契約していただいたお客様が、「可愛いアンティーク調のドアブザー」を希望されました。いまでは新築のチャイム、イコール、テレビドアホンが一般的ですが、これもアリだよねって思いました。何の疑いもなく決めてしまいがちですが、ときにはそれでよいのか、問い直してみるのも必要かもしれません。

 

先月松本市にあるウッドワンショールームでは、KUROMUKU(クロムク)というシステムキッチンを発売しました。いままでのキッチンというと、どのメーカーも扉つきでデザインにそれほど違いがありませんでした。

 

今回のKUROMUKUは、黒のスチールフレームと無垢の木との融合。フレームが露出していて、木の板と抽斗で構成されていて、これまでの常識を覆しています。いままでなかった分、「感性が合えば即決」だとか。

ウッドワンプラザ松本(TEL:0263-29-0788)では、11月10日(木)~12日(土)まで、秋の新商品紹介イベントを開催します。興味がある方はぜひお出かけください。

 

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ウッドワンプラザ松本。キッチンはKUROMUKU

 

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↑(右)無垢の木の収納ツムハコとテンツリ。(左)スタイリッシュなデザイン階段

 

インターネットは情報のドブ川?

24年前、電子ネットワークサービスの普及促進を活動目的とした「電子ネットワーク協議会」という団体が発足しました。多くの会員は大企業で、神奈川県や千葉県などの地方自治体が協賛で参加。一時期その団体の会報誌の編集に携わっていました。

 

会報誌では、電子ネットワークに関する最新情報や通産省(現経済産業省)の施策などを掲載。専門家の話は難しくてわかりませんが、新しい世界が時代を変えていくという期待感がありました。

 

その時はじめて知った言葉が「インターネット」。

 

勉強会は技術的な話ばかりでしたが、ある講師の方の『インターネットは情報のドブ川だ』というひと言が、ずっと記憶の中に残っていました。

 

その後パソコンが普及し、今ではインターネットは誰もが利用するITインフラになりました。調べものをするときや新しいニュースを知るにはとても便利で、新聞やテレビを見なくても気軽に知りたい情報が手に入ります。ついつい頼りにしてしまします。

 

でも、時々疑問に思うことがあります。たとえば、美味しいレストランを探したいとき。口コミサイトで星の数が多い店に注目しますが、イマイチなことがよくあります。写真がきれいでも味が金額に見合わないと感じることもしばしばです。

 

ある大学では学生たちが調べ物をする時に、多くの学生がインターネット検索の上位にあがるサイトを丸写しして提出していたという話も聞きます。その内容が正しいかどうかも確かめずに。ネットにあることがすべて正解のように受取ってしまいがちです。

 

弊社には住宅に関わる様々な業者さんが来社されます。雑談の中では同業者の話がよくでますが、耳を疑うような話もあります。

 

たとえば、デザイン住宅を売りにする地元のビルダー。「設計士と営業と現場が意思の疎通がまったくなくて間違えだらけ」、「サッシの色を間違えて全部塗り代えさせていた」、「外壁の張り方が違ったので壊してやり直した」。ホームページには、お洒落な住宅実例が並んでいます。

 

お金をかけてホームページをつくっている地元の工務店でもあります。「工事代金をぜんぜん払ってもらえない」、「材料代がなくて工事が止まったまま」、「完成の目途がたたずお客さんが困っている」。ホームページでは、経営者が理想の家造りを語っています。

 

住宅を建てたいと思う時多くの方は、まず、どんな会社があるかホームページで調べます。そんな時、見た目やイメージだけで決めてしまうのは危険。そこにある情報や内容がほんとうに確かなのか、自分なりに見つけ出す力が必要になります。

 

弊社は情報のドブ川から、「これはホンモノ」として認めていただけるように日々家造りに取組んでまいります。

 

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未来に息づく、まちづくりを

おとぎ話『三匹のこぶた』のオオカミは、わらの家と木の家を吹き飛ばしましたが、レンガの家はビクともしませんでした。子供心に「レンガの家なら丈夫で安心」と、ずっとそう思っていました。

 

8月23日に発生したイタリア中部地震では、その常識を覆されました。アマトリーチェでは石造りの建物が崩壊し、町が跡形もなくなるほどの被害をうけました。耐震対策がされていなかったことが原因だそうです。

 

それに対して震源地から南東10㎞にあるノルチャでは、死者がゼロ。ウンブリア州にある人口約5千のこの小さな町は、ここ数十年間で大地震に見舞われ甚大な被害を受けるなか、耐震化をすすめてきたといいます。

 

1997年にウンブリア州アッシジを襲った大地震では、サンフランチェスコ教会の天井が崩落。砂煙が上がるTV映像を思い出す方もいると思います。何度か訪れていた私にとっても、ショッキングな出来事でした。今回はその時の教訓が生かされ、被害がなかったそうです。

 

ノルチャには30年前、MOTO RADUNO(モト・ラドゥーノ)というオートバイ愛好家の集会に参加するために訪ねたことがあります。ヨーロッパ各地からやってくるライダーは、ほんとうにバイク好きで、走るのが大好きな人たちばかりでした。

 

オーストリア人グループのバイクの後ろに乗せてもらい、アウト・ストラーダ(高速道路)を走り、山の尾根を抜け、道の険しいワインディングロード。しばらくすると、ノルチャの美しい街並みが現われます。

 

さらに28km先には、カステッルッチョ・ディ・ノルチャの村。バイクで村へ近づくと、いきなり目の前に360°のパノラが視界に広がる。遮るものがない大平原。羊が群れをなし、その後を羊飼いが追う。なだらかな頂からはハングラーダーが宙を舞いながらすべり降りてくる。そして小さな丘に浮ぶ中世の町並み。

 

これまで体験したことがないような幻想的な世界だ。

 

イタリアでの楽しみのひとつは、そんな美しい自然と古い建物が調和した町並みを訪ねること。耐震を考えれば建物を一掃して近代建築にすることもできるけれど、それでは町の魅力は半減してしまう。耐震補強を施して未来に引き継ぐ町並みを残せていけたらと、心願っています。

 

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↑モト・ラドゥーノ1986

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↑カステッルッチョ・ディ・ノルチャ

意思表示をしなければ、前に進めない

子供の頃、東京の西を流れる多摩川は、私たちの格好の遊び場でした。スルメを餌にザリガニ釣りを楽しんだり、土手の堤を勢いよく自転車で滑り降りたり、ひろってきた子犬と走り回ったり‥‥。ボーッと考えごとをするときは、いつの間にかそこにいました。

 

それがある時期から遠のきました。川に生活排水が流れ出し、水面はヘドロの黒いかたまり。足を入れる気にならないほどで、水辺の遊びがなくなりました。川辺には汚水処理場が建設され、風が強い日には洗浄する白い泡が雪のように舞い、近くの民家の壁に貼り付きました。

 

街では車の排気ガスによる大気汚染。陽射しが強い日には、目がチカチカしたり、頭が痛くなったりして、光化学スモッグ警報が発令されました。健康や生活環境に係わる公害が社会的な大問題になりました。

 

そんな小学校高学年の時、自転車を飛ばして自宅近くのショッピングセンターに向かいました。そこにはニュースキャスターが東京都知事候補の応援演説をしていました。話の内容についてはほとんど記憶にはありません。でも、「10年後には多摩川を魚が帰ってくるきれいな川に戻します」という公約は鮮明に覚えています。

 

「川がきれいになる」。その言葉を純粋に信じ、いつか自然が戻ってくることを心待ちにしました。選挙権もないのにその候補者を応援したくなりました。

 

大人になって選挙権を持った今、政治家の言うことが全て実現できるとは考えていません。それでも公約を掲げる限り、矛先を変えないで真剣に取組んで欲しい。多摩川は10年では復活しませんでしたけれども、30数年経って再び都民の憩いの場になっています。

 

明後日は、東京都知事選挙の投票日。東京都民ではありませんが、政党やまわりの思惑に流されずに、使命感を持って都民に接する方がいいな、と思います。

 

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↑自然を大切にしたい。国定アルプスあづみの公園の堀金・穂高地区。

 最近オープンした里山文化ゾーン

 

 

「倒れない家」から「壊れない家」へ

最近、弊社を訪れる建築関係者から、熊本地震についての話を伺う機会が増えています。

 

ある建材メーカーの担当者は、「地震の揺れで柱と梁を接合する仕口が外れ、建物が倒壊したという現場が数多く見られた」という話をされました。強い揺れ対して対応策が求められます。この会社では、接合に金物を使用していたため倒壊した家はなく、九州方面の注文依頼が殺到しているそうです。

 

建築金物を専門に製造・販売している会社の営業からは、基礎と土台を緊結しているアンカーボルトが切れてしまったという話がありました。地震の力で大きな負荷がかかる場所では、さらに強度を高めた製品が求められます。この地震を契機に、金物の基準がさらに厳しくなりそうです。

 

住宅瑕疵保険の検査員からは、「耐震等級2でも倒壊した建物があった」という話がでました。耐震等級2とは、建築基準法レベル(耐震等級1)の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度。耐震等級1は数百年に1度発生する地震力となっていますが、熊本の場合は震度7が2度続いたために、最初の揺れで持ちこたえた建物も、2度目の震度7で倒れてしまったそうです。

 

建築基準法では、昭和56年に新耐震設計基準が施行され耐震強化されました。新基準は「震度6強以上の地震で倒れない住宅」といわれ、阪神淡路大震災ではある程度効果があったそうですが、これで安心というわけではありません。熊本地震のように想定外のことが起きる可能性もあります。

 

長野県は30年以内に地震が発生する確率が「最大30%」。活断層で最も確立が高いワースト1です。この数年間でも2011年の長野県中部地震、2014年の長野県神城断層地震などが発生しています。でも、地震への備えを考えている人はそれほど多くいません。

 

住宅を新築する場合、地震対策の話になると、建築コストが上がるので最終的に断念してしまいます。特に建物の下に設置する免震装置は、耐震に比べて変形の低減90%前後が可能ですが、高価で手が出ないのが現状です。

 

そこで弊社では、地震エネルギーを吸収して揺れを抑える「制震システム」を導入いたします。これは1階に特殊粘弾性ゴムを組み込んだダンパー。メンテナンスフリー。取り付けは簡単・低価格で設置できます。来週、白馬村で上棟する住宅から施工いたします。

 

今回9月までに新築住宅をご契約いただいたお客様には、この制震システムを先着3棟3名様に無償で取り付けいたします。希望される方は、ぜひご連絡ください。

 

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地震エネルギーを吸収する制震システム

 

できないと断られた木造のゲストハウス

「申し訳ないですが、こちらの家は弊社ではできません」。といってお断りされたのは、木造住宅のプレカットを依頼している会社の営業担当者。仕方がないのでもう一社お願いしてみると、10日後に同じ答えが返ってきた。責任が持てないという理由だ。

 

依頼主は上海在住の中国人の方。「ちょっと変った外観にしたい」という希望で、施主様が知合いのデザイナーに図面を頼み、それをベースに弊社で修正を加えました。平面は台形、立面は斜めの壁や柱。「四角い部屋じゃ面白くない」ということで、バルコニーや部屋も一部変形しています。

 

「やっぱり木造では無理かな」と途方に暮れていると、ふっと「齋藤木材工業」が頭に浮かびました。この会社は長野県・長和町にある信州カラマツを使用した木造建築を施工することで有名。学校や体育館などの公共施設をはじめ、集合住宅、商業施設など、大断面カラマツ集成材を構造材にした大規模木造建築を数多く手がけています。

 

平成5年に開催された「信州博覧会」のメイン会場になった「やまびこドーム」(当時はグローバルドーム)もこの会社の作品です。

 

今から10数年前、妻の親戚の方が外観をアールの壁にしたいといわれた時に、齋藤木材工業にお願いしました。カラマツの集成材で土台と桁を曲線で造ってもらいました。また同じ時期、安曇野市の別荘では、大空間の駐車スペース(7m×11m)でお世話になりました。その時は確か、梁せい62㎝で長さ7mの梁を3本使用しました。

 

私の頭の中では木造住宅で「困ったとき、イコール齋藤木材工業」という回路が働いてしまうようです。今回もS工場長が「やってみましょう」のひとことで了解していただきました。ほんとうに頼りになります。

 

お陰さまでこの建物は、先週の金曜日に無事に上棟しました。梁・桁の一部にカラマツ集成材を使用し、仕口による欠損が大きい柱の接合部には、金物を取付けました。

 

問題点としては、ふつうの住宅より材料のロスが多く、大工工事でも造作に余計手間がかかるので、建設費がコストアップになります。床暖房工事を1階だけに変更したり、サニタリーの水廻りをひとつにまとめたり‥‥、建設費も当初の見積金額よりも大幅にコストダウンしました。

 

お披露目はホームページ等でご報告いたしますので、その際はぜひ見学にお越しください。

 

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↑ conceptional drawing (The north side)

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↑ conceptional drawing (The south side)

 

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↑(左)柱に取付けた金物 (右)信州カラマツの構造材

体感型ショールームがグランドオープン

住宅を建てるとき、「窓・開口部」から考える人は少ない。「窓枠はホワイトで格子付」、「丸窓っていいよね」などの話は出ますが、大体は見た目重視で、外観の一部としてしか認識されていません。主役になるのはお洒落なインテリアや高価なキッチンなどばかり。

 

でも窓は住宅にとってさまざまな役目を担っています。断熱性、気密性、遮熱性、遮音性、防犯性、防露性、通風性、防犯性……。外壁と比べて熱損失が大きいのですが、最近では高断熱タイプもあり、「透明な壁」と呼ばれるほど高性能なものもあります。

 

「窓がいいからって何なの?」と思われる方は、窓の専門メーカー「YKK AP」の『ショールーム品川』をおすすめいたします。6月2日にグランドオープンして体感型施設として生まれ変わります。

 

いち早くプレオープンの内覧会を覗いてきました。内部は自社の商品を展示するだけではなく、窓を通して「見る」、「感じる」、「学ぶ」など、様々なことが体感。

 

たとえば、断熱効果による実体験。昭和55年当時の壁・床・窓の断熱仕様の部屋から、最新の高断熱仕様の部屋(トリプルガラス樹脂窓)まで5つの部屋があり、冬の外気温に設定した状態で、それらの部屋の違いを肌で比較できます。

 

各部屋には温度計やサーモグラフィでもわかりますが、断熱性能の低い部屋ではひんやりとした床、サッシ廻りの結露による不快感など、身をもって知ることができます。ヒートショックや結露で発生するダニやカビによるアレルギー。健康被害にならないためにも、こだわらなければいけない選択肢のひとつです。

 

そのほか、シヨールームには、10数種類の窓による遮音性能や遮熱性能も体験できます。遮音では、犬の鳴き声、ピアノの音、飛行機の騒音など、音量を変えながら性能を確認。周波数による音の違いも経験でき、若い人しか聞こえないモスキート音も試してみれます。遮熱ではガラスによる、紫外線カットの数値を計測。女性の方におすすめです。

 

近未来の窓展示にも注目。手をかざすと自動で換気したり、ブラインドに早や代わりしたり。ガラスをタッチするだけで照明や景色画像に変身し、TVニュースを観たり音楽を聴いたりもできます。

 

東京へ行ったら品川駅から歩いて5分なので、ぜひ訪ねてみてください。

 

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白馬村のN様邸。窓は真空トリプルガラスの高性能サッシ